当社取締役である冨永善視が執筆いたしました一般投稿論文が情報処理学会 デジタルプラクティス Vol.11 No.2(Apr. 2020)に掲載されました。
人口減少社会におけるコミュニティ形成に必要となるアプリケーション開発
冨永 善視1,2 田中 秀樹1 成本 迅3 石黒 浩2 小川 浩平4
1(株)エルブズ 2大阪大学 3京都府立医科大学 4名古屋大学
我が国は人口減少社会という次代の社会構造への過渡期にあり,社会・産業構造の再構成に取り組んでいる.人口減少社会においては,人口そのものが少ないために,地域を基盤とした従来のコミュニティ形成が困難となっている.一方,若年層の間では,互いの詳細な個人情報を持たないインターネット上のサービスで実現された「弱いつながり」により,災害時などの互助を実現する「強いコミュニティ」が形成されている.我々は,人口減少社会におけるICT基盤となるサービスは,高齢者や知的ハンディキャップを持つ障碍者など多くの人間が利用でき,バーチャルエージェントも参加し人口減少分を補完し,互助の可能性を増大させ,孤独死などの不安を解消するサービスであると結論づけた.本稿では,「御用聞きAI」に実装した複数の機能について,利用者の評価や実証実験での利用率などの結果とともに,継続採用,停止した実績の紹介を行う.また,実証実験において「御用聞きAI」を実事業として運用した結果を元に,持続可能な仕組みづくりと高齢者の孤独感解消の観点から,基盤サービスとして注力すべき機能を再整理する.これらの考察を踏まえ,人口減少社会に必要な基盤サービスとは具体的にどのような機能を有するサービスであるか,「御用聞きAI」の最新版とともに明らかにする.
掲載論文は、情報処理学会 デジタルプラクティス Webサイトからご覧いただけます。